冷たい上司の温め方

「……わかり、ました」


楠さんの厳しい言葉に背筋が伸びる。

もう学生ではない。
自分の責任は自分で取らなくちゃ。


「そのパソコンはお前のものだ。
出勤記録が見えるようになっているから、整理しろ」


やっと挨拶できたところなのに、いきなり仕事だ。
少しくらいコミュニケーションというものを取らせてくれたっていいのに。


「整理って、どうすれば?」


パソコンだって自分のものではないわけだから、どこを開けばいいのかわからない。
そんな適当な指示では困る。


「笹川、教えてやれ」


楠さんは、パソコンを開いて別の仕事を始めた。


「あはは。楠さん相変わらずですね」


笹川さんがそう言うということは、いつも無愛想なのだろう。

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