冷たい上司の温め方

「心配しないで。わからないことは俺に聞いてね」


楠さんとは対照的に優しい笹川さんに、恋してしまいそうだ。


「パソコンの前に、人事の仕事のこと聞いてる?」

「いえ……」


『シモベ』と聞いているだけで、あとは遠藤さんから聞いた情報しかない。


楠さんの方をチラッと見た笹川さんは、少し驚いている。


「そっか。それじゃあ簡単に紹介するね。
まずパーテーションの向こうの一課。
あそこは新規採用を主に行っているところ。だから今は特に忙しい。
入社式の次の日から新人研修を、研修センターでまとめてやるはずだ」


私は首をかしげた。
私も新人なんだけど、なにも聞いてない。


「あの、私は?」


笹川さんに尋ねたけど、返事をしたのは楠さんだ。

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