冷たい上司の温め方

販売促進部は、三階下のフロアにあった。

エレベーターを降りると、人事のフロアとは違い活気ある声が飛び交っているのを聞いて、同じ会社でも違うものだと思う。


ところが……販売促進部のドアに手をかけて、一瞬ひっこめる。
活気あると思った声の内容が、まるで子供のケンカだったからだ。


「あんたのやり方がそもそも間違ってる。だから実績が出ないんだ」

「それはこっちのセリフだ。
お前のやり方では、今良くても、将来にはつながらない」


なんの事だかさっぱりわからないけど、どうも意見が対立しているようだ。


「ちょっと……もう止めてください」


誰かが間に入ったようで、声は止まった。


「失礼します」


このタイミングでは入りづらかったけれど、早くしないと次の仕事が待っている。

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