冷たい上司の温め方
冷たいの?優しいの?
月曜。少し早めに出社すると、もう楠さんが仕事を始めていた。
「おはようございます。大丈夫ですか?」
「あぁ。もうすっかり良くなった。久しぶりにあんなに寝たしな」
顔色もいい。
風邪をひく前より、健康そうに見える。
「よかったー」
「悪かったな」
「いえいえ」
クールな彼の精いっぱいの感謝の言葉を受け取ると、デスクについた。
「今日からの仕事だ」
すぐに楠さんから手渡された資料には、営業部長についての書類だ。
「これ……」
首切り?
しかもかなりの役職の人だ。
「仕事をバリバリやってくれるそうだし」
「そ、そうです。がんばります」
「今日、就業後に面接をする。
麻田は初めてだから、見ているだけでいい。
とりあえず、資料の内容を頭に入れておけ」