冷たい上司の温め方

「実は二課のあの人、酒癖が最悪でさ。
いつも二課の同期のやつと一緒に送り届けるのが、習わしみたいになってて……」


あの私に絡んできたオジサンだ。

困ったような顔をして肩をすくめる笹川さんは、「麻田さん、お疲れ様だったね」とねぎらってくれた。


「笹川、これ頼むな」


楠さんは私に渡した資料と同じものを笹川さんにも渡している。
それを見て、やっと仲間に入れてもらえたと感じた。でも……。


「麻田。二課の新人に仕事を教えてやれ」

「でも彼女は二課ですし」


三課の仕事に混ぜてもらえると思った瞬間、これだ。


「いいから。他のヤツ、忙しいんだ」


それって、「お前はヒマだろう?」と言われているの?


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