冷たい上司の温め方
祝杯はウーロン茶で
それからは再び、楠さんのシモベ生活が始まった。
相変わらず各部署を走り回る日々だ。
ちょっとした書類を届けるたびに、私と同期の新人達の活躍がわかってうれしい。
だけど一方で、孤立して困惑している人や、上司が持て余しているようなケースもあって、適材適所というのは難しいと感じた。
そんなシモベ生活も慣れてくると快適だ。
相変わらずの雑用の量。
人事の他課の雑用まで私に回す楠さんに最初は腹を立てていたけど、それももしかしたら経験を積ませてくれているのかもしれないと考えると、腹も立たなくなった。
休憩の時間は時々遠藤さんの手伝いに行った。
もちろん、人事に掃除に来てくれたときは積極的に手伝ったけど、遠藤さんの大変さを身を持って知った私は、ほんの少しでも手伝えればと思っていたのだ。
地下の部屋のドアに手かけると、中から聞き慣れた声がする。
この声は……楠さんだ。
楠さんも未だに手伝ってくれると遠藤さんが言っていたから、私と同じように手伝いに来たのかもしれない。