冷たい上司の温め方
「どうして?」
「三課は特に、嫉妬もひがみも……怒りも、そういう人間の汚い部分を目の当たりにしますから。
麻田には辛いかもしれません」
もしかして、私の心配をしてくれている?
私には決してそんなことを言わないけど、優しいところ、あるじゃん。
「そうね。だけど、辛いのは楠君も同じでしょ」
「いえ、私には天職ですよ」
「そんなになにもかも背負ったらダメ。
あなたはあなた自身の人生を楽しめばいいのよ」
三課の仕事が『天職』ってどういうことだろう……。
なんだか聞いてはいけない話だった気がして、私はそのまま人事に戻った。