冷たい上司の温め方
部長が声を荒げて、彼女はやっと非を認めた。
深々と頭を下げて、反省したのだと思った。
だけど、次の瞬間顔を上げた葛谷さんは、私をにらみつける。
「あなた、はめたわね。
大体人事がこのフロアのトイレ使うなんて、おかしいじゃない」
「いえ、あの……突然もよおしまして。昨日食べ過ぎて……」
苦し紛れにそう言ったけど、それではイケメンの前で“大”の方をしたことをわざわざ公表したのと同じだ。
はぁ。
恋が始まるかもしれないと、ちょっと期待したのに。
いや、もはやそんなことはどうでもいい。
私のせいなの?
違うでしょ?
そんなの小学生だってわかるでしょ?
どうしよう。我慢できない。
彼女は先輩だけど、悪いものは悪い。