冷たい上司の温め方

「バレなければいいんですか?」


総務全員の視線が集まったけど、もうこの際気にしていられない。


「葛谷さんのしていることは、子供のいじめと一緒です。
安藤さんのなにが気に入らないのか知りませんけど、口で言えばいい。
それに……その書類の不備で会社に損害を与えたのなら、会社員として失格です」


はぁー、すっきりした。
でも……またやらかした?

少し怖くなって部長の顔をチラッと見ると、小さく頷いてくれてホッとする。
他人様の部署に来て、先輩を叱るなんて……新人のくせに生意気だと言われても仕方がない。


「君の言うとおりだ。
葛谷、お前はしばらく雑用だけだ。責任のある仕事からは外す」

「部長……それは……」


ガクッと肩を落とした葛谷さんは、茫然として焦点が定まらない。

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