冷たい上司の温め方
「もー」
盛大な溜息をついて肩を落とすと、笹川さんがクスクス笑う。
「笹川さんまで笑わないでください」
「わかってるから大丈夫だよ」
そうだけど……。
私だって一応女の子なのに。
「もう十二階に行かなくていいぞ」
それって……やっぱり葛谷さんのことを耳にしたから、調査に差し出したってこと?
そりゃあ、全社員に働きやすい場所を提供するのが人事の仕事かもしれないけど、こんなやり方、やめてほしい。
楠さんに振り回されてばかりだ。
だけど……。
「飲みに行くか?」
定時を過ぎて、ヘトヘトになっていると、楠さんが珍しいことを言いだす。
「はい。行きます! 麻田さんの仕事成功祝いですね」
「私?」
笹川さんがノリノリだ。