冷たい上司の温め方
「楠さん、それは大規模のものですか?」
流石は笹川さんだ。
少しも動じる様子がない。
「いや。今のところ業績は右肩上がりだ。
しかし、いつ落ちるともしれない。
使えない人材を置いておくなということだ」
どうせ偉いさん達の命令だろう。
あの役職がついた人達の中にもいらない人がいっぱいいると思うんだけど。
遠藤さんと重役のいるフロアを掃除してそう思った。
無駄に大きな部屋を与えられ、秘書までついて……なのに大きな椅子にふんぞり返って、デスクに置かれた書類に目を通すこともなく判をついているような人だっていた。
「俺としては、鍛えれば使える者はそのまま残したいと思っている。
だけど、それに耐えられない者には辞めてもらおうと思う」