冷たい上司の温め方
「リストラするつもりの人を前に、こんな話するわけないだろ?」
笹川さんがケラケラ笑いながらそう言うのを聞いて、妙に納得する。
それも、そうだ。
「もういい。アホは放っておいて、本題だ」
そんな言い方酷い。
だけど、確かにアホかも、私。
「今回は切羽詰まってのリストラではない。
ただ人数を減らせばいいという訳ではない。
きちんと人材を見て、残すべきかそうでないかを判断しなければならない」
そんなこと、到底私にはできそうもない。
「麻田。お前には期待してないから、心配するな。
笹川、頼むぞ。まずはピックアップからだ」
「はい」
笹川さんだって私より三年早く入社しているだけなのに、なんだろう、この違いは。