冷たい上司の温め方

楠さんも笹川さんも、こういう時のために常にさまざまな課の状況を把握して、必要とあらばさりげなく調査をしているのだ。

もう目ぼしい人が頭に浮かんでいるのかもしれない。


なにをしたらいいのかわからないけど、とりあえず今まで通り楠さんに言われたことをこなすことからだ。

楠さんが立ち上がるのに合わせて、私も人事に戻ろうとすると「麻田」と呼ばれて立ち止まる。


「これからの仕事は、それなりに精神的苦痛が伴う。
無理なら無理と言え。まだ新人だ。外してやる」


楠さん、本当に心配してくれているんだ。


「いえ。私も三課の一員です。手伝わせて下さい」


私も、正義は勝つと信じたい。

正しいことは正しいと言い続けたい。
頑張っている人はきちんと評価する楠さんの姿勢を見習いたい。

< 204 / 457 >

この作品をシェア

pagetop