冷たい上司の温め方

「新人がトラブッてるみたいなんだ。
新人ということで一課が対処していたんだが、どうもその上司の方の評判も良くないらしくてな」


大阪支社はここ東京本社よりずっと規模は小さいけれど、重要な拠点だ。


「噂だけで処分するつもりはない」

「わかりました。すぐに飛びます」


すぐに? これから?

笹川さんの行動力には驚くばかりだ。


「悪いな。とりあえず一泊の申請は出しておく。これは俺が対処する」


楠さんはさっき私が指差した書類を、笹川さんのデスクから取って行った。


このふたりを見ていると、自分の力のなさを思い知らされる。
トイレに行ってるだけだもの。


「はぁ」


思わず溜息をもらすと、楠さんが口を開いた。

< 209 / 457 >

この作品をシェア

pagetop