冷たい上司の温め方
「新人がトラブッてるみたいなんだ。
新人ということで一課が対処していたんだが、どうもその上司の方の評判も良くないらしくてな」
大阪支社はここ東京本社よりずっと規模は小さいけれど、重要な拠点だ。
「噂だけで処分するつもりはない」
「わかりました。すぐに飛びます」
すぐに? これから?
笹川さんの行動力には驚くばかりだ。
「悪いな。とりあえず一泊の申請は出しておく。これは俺が対処する」
楠さんはさっき私が指差した書類を、笹川さんのデスクから取って行った。
このふたりを見ていると、自分の力のなさを思い知らされる。
トイレに行ってるだけだもの。
「はぁ」
思わず溜息をもらすと、楠さんが口を開いた。