冷たい上司の温め方

「あんたたちになにがわかるんだ。
人の粗探しして、クビをちらつかせて……あんたたちは楽しくて仕方がないだろうよ」


そんな……。
楠さんは平気でリストラをしているわけじゃない。


「それでクビにしたいって話か。
俺がクビになったら、まだ小学生の息子はどうなるんだ。
あんたたちのせいで、あいつの将来は……」


そんなの八つ当たりだ。

私は聞いていられなくて思わず立ち上がった。
だけど、なにも言えなかったのは、楠さんが私を手で制したからだ。


「今日はここまでにしましょう。
本日のことを踏まえて、もう一度これからについて良くお考えください。また改めて……」


飯田さんは楠さんが話し終わる前に立ち上がると、ドアを思いっきり閉めて出て行った。

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