冷たい上司の温め方
やっと、会社の顔からプライベートな顔に変わった。
熱を出した夜、苦しさに顔をゆがめていたように、思ったことや感じたことをそのまま出してほしい。
そういうことがないと、首切りの仕事は辛すぎる。
「楠さん、休みの日はなにしてるんですか?」
「別に、なにも」
「あれー、腐るほど女がいるのに?」
楠さんは白身のお刺身が好きなようだ。
「お前よりは忙しいな」
楠さんは再びウーロンハイを口にしている。
少しは飲めるようだ。
「今度一緒に遊びましょうよ」
「だから、メリットは?」
「だーかーら、チュー」
楠さんが楽しそうに笑うと、うれしくてたまらない。
いつの間にか、楠さんを笑わせることで頭がいっぱいになっていた。