冷たい上司の温め方
「大阪の件だが、どうも新人の指導係のセクハラがあるようなんだ」

「えっ!」

「声がでかい」


だって、セクハラって……女の敵だ。


「その指導係は、解雇の予定だ」

「解雇……」

「犯罪は許さない」


楠さんの毅然とした態度に、頷いた。

正義を守りたい。
まさにそのものだ。


「あとは笹川に任せてみようと思う」


きっと笹川さんならできる。
楠さんの言葉に私もうなずいた。


笹川さんの帰りは、夕方になった。


「おかえりなさい」

「お疲れ様」


少し疲れた様子の彼は、真っ直ぐに楠さんのところに報告に向かった。


「笹川、お疲れ」

「お疲れ様です。解雇を伝えてきました。
本人は納得いかないと言っていましたが、現行犯でしたから」

「現行犯?」
< 225 / 457 >

この作品をシェア

pagetop