冷たい上司の温め方

笹川さんの声が聞こえてしまった私は、思わず声をあげてしまった。
すると笹川さんが私を手招きして呼んでくれる。


「色々噂は聞こえてきていましたから、支社の中をウロウロしてみたんです。
そうしたら見ちゃいました。
嫌がる新人女子社員をしつこく飲みに誘って、“君のクビなんていつでも切れるんだよ”って」

「それってパワハラですよね」


私が思わず尋ねると、笹川さんは頷いた。


「そう。セクハラにパワハラ」


そんなバカな人、本当にいるんだと呆れる。
他人を脅しておいて、自分のクビが飛ぶなんて、かっこわる。


「逆ギレされましたけどね。
人事の身分を隠して調査するなんて、人権侵害だとかなんとか」

「言わせておけ」


そうだ、そうだ!

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