冷たい上司の温め方

長袖の白いシャツに、細身のジーンズ。
足もとを覗くと、デッキシューズを履いている。

すっきりとした、なかなかのコーディネートだ。


あまり深く考えずに服を選んできた私は、もう少しオシャレをしてくればよかったかもしれないと後悔した。

淡いブルーのシフォンのブラウスに、白いクロップトパンツ。
それにウエッジソールのサンダル。

だけど、スカートでも履いてくるべきだったかな。


楠さんがハンドルを握るBMWは、軽快に街中を進んでいく。
楠さんは運転がうまい。


「お前、飯食ったのか?」

「いえ」


時間、なかったし。


「だろうな」


だらしない女、だと思われているのだろう。
呆れ顔の楠さんは、さらにアクセルを踏み込んだ。

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