冷たい上司の温め方

やがてやってきたハンバーグは、ナイフを入れると肉汁とチーズが溢れてきて食欲を誘う。
おまけにデミグラスソースが絶品だ。


「うわー。これ、おいしい」

「そうだな」


ふっと楠さんの顔が緩んだ。
この人、リラックスしていると、優しいオーラが出るんだ。


「楠さん、彼女いるんじゃないんですか?」


私が落ち込んでいるから付き合ってくれたのでは、申し訳ない。


「女には困らないが、特定の女はいない」

「ちょっと、それ……問題発言ですよ。女の敵!」


私がクスクス笑うと、楠さんも口元を緩めた。

そっか。彼女、いないのか……。


「でも、彼女いないなら、デートしてあげます」

「なんだ、それ」

「なんだって、私とデートできるなんて、貴重ですよ?」

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