冷たい上司の温め方

自分で言っておいてなんだけど、本当の愛ってなんだろう。

今まで彼氏という存在がいたことはあったけど、何度も浮気されたし、利用されたし……あれが本当の恋だったとは言い難い。


「それなら、教えてくれよ。俺に、本当の愛とやらを」


メガネの下の目が、真剣だ。
この人、本当にそういうものに飢えているのかもしれないと直感で感じる。

だから、笑えないのではないだろうか。


「わかりました。ドーンと任せてください」


ロクな恋愛経験のない私だって、ホントは知らない。
だけど……できることなら教えてあげたい。


全然自信もないくせにそう返事をした私は、「とりあえず、チケット買いますよ」と彼を引っ張った。

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