冷たい上司の温め方
「他を探せ」
「いえ、お願いします」
仕方がない。
このままでは就職も決まらない。
しかも、中堅メーカーとはいえ、そんなに簡単には入られる会社ではない。
きっと、電機関係の知識のある人や、一流大学を出ているような人しか。
チャンスなのかもしれない。
私にも運が向いてきたのかも……しれないじゃない。
そう考えると、グーンと気持ちが持ち上がる。
よし、これで田舎に帰還は免れた!
「早速だが」
「はい」
「シモベと言えども、それなりの格好はしてもらわないと困る」
シモベって……。
ムカッときたものの、怒りを呑み込む。
せっかく決まりそうな就職を逃するわけにはいかない。