冷たい上司の温め方
「仕事してないヤツもモテないみたいだけどな」
「悪かったですね」
不貞腐れたふりをしてみたものの、休みはいつも寝て終わっていた私にとって、とても楽しい時間だ。
「モテない者同士、また遊びませんか?」
こんな提案、即却下だと思ったけれど……。
「モテないわけじゃないが……遊んでやってもいいぞ」
やった。
なんとなくホッとした。
彼は放っておいたら、ずっと仕事をしてそうだ。
そんなの絶対に体に良くない。
「あっちに、小川があるんですよ。
と言っても、随分前の記憶ですが……」
私は楠さんの腕を引っ張った。
嫌がる犬のように私に引きずられる楠さんは、それでもついてきた。
「あー、あった!」
この公園には一度だけ来たことがある。
学生の頃のうっすら残る記憶をたぐり寄せ、公園の奥に進むと、小川があった。