冷たい上司の温め方

探偵麻田の出番です


公園でのデートもどきのあと、楠さんと少しは心を通わせられたかもしれないと思っていたものの、仕事は相変わらず厳しかった。


「麻田。仕事が遅い」

「すみません。でも……」


仕事が多すぎるよ、絶対。
与えられた仕事のほかに、他の課の雑用だってこなしているのだ。

山際さんは暇そうなのに!


「言い訳は聞かん」


鬼!

でも、仕方ない。
楠さんは確かに私の何倍もの仕事をこなしているのだから。


「あぁ、干からびてきたー」


お昼前、疲れすぎた私は思わずそんなことを口走った。


「腹が減っただけだろ? 
笹川、先に休憩いいから、一緒に食堂行ってやれ」


楠さんは忙しそうにパソコンを打ちながら、私には目もくれない。

だけど……笹川さんと一緒に行かせてくれるのは、あの悪口の件があったからだと思う。

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