冷たい上司の温め方
週末になって、今度は私から楠さんに電話を入れた。
「公園行きますよー」
『またか?』
「そうです。またです。今日は運動できる服装でお願いしますね」
『は……お前』
楠さんが電話の向こうでなにか言っていたけど、私は勝手に切った。
楠さんの意見は却下だ。
とはいえ、すぐに迎えに来てくれた彼は、スニーカーを履いていた。
そして私が持っていた物に驚いている彼に、それを無理やり手渡した。
「お前……」
「楠さんの部屋に写真あったでしょ? サッカーやるのかなと思って。
体を動かすと、気持ちいいんですよ」
サッカーボールを買ってきたのだ。
こんなに高いものだとは知らず、焦ったけど。
「やらないことはないが……」
嘘つき。
バリバリやってたくせして。