冷たい上司の温め方
困ったような顔をした彼は、それでも私を車に乗せて公園へと向かった。
「そのでっかい荷物はなんだ?」
「お弁当ですよ、お弁当」
大きな保冷バッグは今日のために買ったものだ。
「お前、料理できるのか?」
「うーん。どうでしょう……」
得意という訳ではないけど、ひとり暮らしも長いから、一応は作れる。
あのレストランにもまた行きたいけど……たまには外でお弁当も悪くない。
公園に着くと、ボールを私に持たせた彼は、お弁当を持ってくれた。
気が利くオトコだ。
芝生広場まで来ると、木陰の下に座り込んだ楠さんは、動こうとしない。
「サッカーやりましょうよ」
「やらねぇよ」
え、やらないの?