冷たい上司の温め方

汗だくになってしまった私は、リフティングを諦め、彼の隣に座った。


「もー無理。痩せちゃう」

「痩せちゃうとか、お前」


「あはは」と声をあげて笑う楠さんを初めて見た。

息が上がり、化粧だって取れちゃったけど、頑張ってよかった。


「ジャーン。お弁当!」


少し体を動かしたところで、お弁当を取りだした。
『ジャーン』なんて言うほどのものではないけど、一応冷凍食品はなしだ。


「おいなりさん、好きですか?」

「おぉ、まぁな」


早起きして頑張ったお弁当には、いなりずしを始め、唐揚げに卵焼き、カボチャコロッケにほうれん草の白和え。あとはタラモサラダともちろん、タコさんウィンナー。

一応、うまくできた、はずだけど……。

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