冷たい上司の温め方
「もともと競争社会だし、似たものを開発しているんだ。
そういうことがあってもおかしくはない。
だが、あまりにも回数が多く、中には我が社の開発したものと全く同じということすらあった」
楠さんの言葉に目を見開く。
それって、企業としては大きな痛手だ。
「そんな話を商品開発から聞いて、それがいつからなのか調べていた」
それを、笹川さんとしていたんだ。
「林常務がうちに来た頃からだったということですか?」
楠さんは頷いた。
「でも、それだけじゃ……」
偶然かもしれない。
「笹川に調べさせたところ、常務のパソコンから商品開発に関する社外秘のデータに何度もアクセスしていることをつかんだ」
それじゃあ、林常務で決まりということ?