冷たい上司の温め方

シモベ、不合格?


「ちょっと、なによ、それ」


私の内定を聞いた久美と聡子は、驚きの声を上げる。

そりゃあ、驚くのも無理はない。
こんな形で就職をゲットできる人なんて、他にはいないだろう。

しかも大きな会社だ。


「そんなおいしい話、聞いたことないよ。
で、その男、課長って……おじさん?」

「ううん。それが、結構若い感じ。
三十くらいに見えたけど……」


本当はいくつなんだろう。

もしかして、本当はおじさんで、若作りしてるとか? 
実は頭がつんつるてん? 
全身整形美人――いや、美男、とか? 

なんて考えては笑ってしまう。


「美帆乃、ニタニタしてキモイ」

「えっ? ごめん」

「その顔じゃ、いい男だったみたいね」


うん。容姿はね。
でもなんだか冷たい男だった……。

< 29 / 457 >

この作品をシェア

pagetop