冷たい上司の温め方
「婚活かぁ。私もしようかなぁ」
そう言う久美は、確か経済学部に彼氏がいたはずだ。
「だって久美、彼氏いるじゃん」
「バカね、結婚まで行くわけないでしょ?
だいたい金のない同級生より年上の男よ」
「えっ、そうなの?」
一応どの人とも真剣に付き合ってきたつもりの私は、久美の言うことが信じられない。
「だから、美帆乃は貧乏くじ引くの。
結婚は一生のことなのよ。好きとかそんな感情より経済力よ。
どうせ、手に職がない私達なんて、誰でもできるような仕事を任せられて、ばあさんになったら若い子に追いやられるの。
それまでにいい男をゲットして脱出よ」
確かに、その言葉には一理ある。
文学という、社会でまったく役立ちそうにないものを学んできた私達には、特に武器がない。