冷たい上司の温め方
だけど、田舎に帰るという最悪の事態は避けられたのだ。
贅沢は言っていられない。
「とにかく!」
「なによ、突然」
私が声をあげると、聡子が呆れたように声をあげる。
「卒論書いてバイトしなくちゃ」
「バイト?」
久美もまた首を傾げて、ひとりで気合を入れている私を不思議そうに見つめる。
「そそ。就職したらそれなりのスーツ着て、メイクだってきちんとしなきゃいけないでしょ?
稼いでおかないとね」
よく考えたら働きに行くのに、別のところで働くって変だけど。
楠さんの言葉にひどくムカついて、闘志がメラメラと湧いてきたのだ。
就職するまでに、ビシッとスーツをそろえて、エステにメイクに……。
見てなさいよ。
いい女だって言わせてやるから!