冷たい上司の温め方
どうして、あんなに冷たい楠さんに魅かれたのだろう。
あの人の胸の内にある、強い正義へのこだわりに気がついたから?
自分はどれだけ大変でも、正しいことを正しいと言い続ける楠さんは、私の中ではかっこよすぎる存在なのだ。
彼は尊敬に値する存在だった。
部屋に帰って茫然とする。
衝動的に弁当を作って持って行った結果……私の恋は終わってしまった。
まともに告白すらできないままに。
弁当箱をシンクに放り込んでも、洗う気にはなれない。
そのままキッチンに立ち尽くして、静かに涙を流した。