冷たい上司の温め方

「おぉ、冷蔵庫ね。
最近、ガラストップのものがよく売れてるよ。高級感があるからね」

「ガラストップですか。それはいいですね」


だけど、そんなのはどのメーカーも取り揃えているはずだ。

当たり障りのない回答に、もしかして、警戒されている?と思った私は、さらに酒を勧めた。


「おっと、悪いね」


板長が出してくれる料理は彩も鮮やかだ。
ひとりなら楽しめたのに。


「私、最近太ってしまって。
こうして外食が多いので、自炊して健康管理しなくちゃと思ってまして」


「どこが太ってるんだよー。
足だって、こんなにきれいじゃないか」


私の足元に視線を這わせる常務に体を硬くする。


「またぁ。お上手ですね」


ひきつる笑顔で無理矢理声を絞り出した。
< 350 / 457 >

この作品をシェア

pagetop