冷たい上司の温め方
「おぉ、冷蔵庫ね。
最近、ガラストップのものがよく売れてるよ。高級感があるからね」
「ガラストップですか。それはいいですね」
だけど、そんなのはどのメーカーも取り揃えているはずだ。
当たり障りのない回答に、もしかして、警戒されている?と思った私は、さらに酒を勧めた。
「おっと、悪いね」
板長が出してくれる料理は彩も鮮やかだ。
ひとりなら楽しめたのに。
「私、最近太ってしまって。
こうして外食が多いので、自炊して健康管理しなくちゃと思ってまして」
「どこが太ってるんだよー。
足だって、こんなにきれいじゃないか」
私の足元に視線を這わせる常務に体を硬くする。
「またぁ。お上手ですね」
ひきつる笑顔で無理矢理声を絞り出した。