冷たい上司の温め方
こんな遠回しなことをせず、重役室に飛び込むことも考えた。
だけど……もしも楠さんが重役室にいなかったら、林常務と面識のある私が人事だとバレてしまうし、そうなると情報を嗅ぎつけていることも気が付かれてしまう。
そうすると、今までの苦労が水の泡になるかもしれない。
遠藤さんが教えてくれたカフェは、わりとすぐに見つかった。
大きな窓から、見たことのある顔が数人いるのを発見した私は、早速店内へと足を踏み入れた。
昼休憩のせいで込み合ってはいたけれど、カウンターは空いている。
すぐ横の席という訳にはいかなかったけど、なんとか会話が聞こえそうだ。
「なににされますか?」
「あっ、日替わりランチを」
「かしこまりました」