冷たい上司の温め方

「あぁぁ……っ」


やがて、貪るようなキスをしながら彼が中に入ってくると、なぜだか涙がこぼれる。


「美帆乃、辛いのか?」

「ううん。うれしいの。だって、楠さんが温かいんだもの」


冷酷すぎる対応に、腹を立てたこともある。
だけど、本当は温かい人なのだ。
ただ、それを忘れてしまっていただけ。


「美帆乃のおかげだ。
お前が俺に、幸せというものを思い出させてくれた」

「楠さん……」


私を激しく、だけどいたわるように優しく抱いてくれる彼は、もう出会ったころの冷たさを感じない。


「んっ……」


私を求めてくれる彼と、彼を求める私。
体だけでなく、気持ちも一緒に重なりあうのがわかると、より大きな快楽のうねりがやって来る。
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