冷たい上司の温め方
「はあ……っ。……ダメ」
彼の背中に爪を立てると、彼もまた顔をゆがめて息を荒げる。
呼吸が乱れて、酸素が足りない。
「好きだ」
耳元でささやかれた愛の言葉に胸が締め付けられる。
私もあなたが、好き。
好きで好きで、たまらない。
「美帆乃、もうヤバイ」
やがて、艶めかしい溜息を吐いた彼は、少し苦しげな顔をして果てた。
彼は呼吸を整えながら、私を抱きしめ続ける。
そして、私の頬に流れる涙を見つけると、優しいキスをする。
大好きな人に包まれて、幸せだ。
私達は職を失い、また一から始めなければならないかもしれない。
それでも、彼と一緒ならきっとやっていける。
正義のヒーローは負けたりしないもの。