冷たい上司の温め方
番外編
心配性のツンデレ上司(side楠)
あの日から半年。
無防備な姿をさらして隣で眠る美帆乃。
少し身動ぎしても、まったく気が付く様子がない。
仕方ない。
昨日はちょっと激しかったか……。
美帆乃はあの事件の後、ここに引っ越してきた。
といっても彼女の部屋はそのままで、こっそり同棲している。
初めて結ばれた夜。
彼女と一緒に暮らしたいと強く思った。
ずっと寂しかった。
親父とお袋を亡くし、天涯孤独になった俺は、強がってはいたけれど、本当はずっと……。
ふたつ返事だった彼女だけれど、珍しく的確な一言を俺に放った。
「住所変更、二課が担当なんですけど?」
クソッ!
流石に同棲がバレるのはまずい。
もういっそ結婚してしまおうと考えたものの、美帆乃は仕事に燃えている。
まだ役には立つとは言い難いが、三課で一番情熱を燃やしているのは、おそらく彼女だ。
空回りぶりが見ていると笑えるけど。