冷たい上司の温め方
彼女は出会ったあの日から、ずっと俺の気持ちを持ち上げ続けてくれた。
リストラ宣告をするときも、対象者から家族のことに言及され、思わず自分の過去を重ねあわせてしまったときも、彼女はいつも隣にいて、静かに励まし続けていてくれた気がする。
「ほら、乾いたぞ」
「ありがとう」
振り向いた彼女が、突然唇を重ねてきて驚いた。
いつもは恥ずかしがって、自分からキスをしてきたことなんてないくせに。
唖然としていると、頬を真っ赤に染めた彼女は、布団で顔を覆い、「今日のお詫び」とつぶやいた。
勝手に嫉妬しただけだけど、ラッキー、なのか?これは。
「明日も早い。寝るぞ」
慌てふためく俺は、彼女の意外な姿に弱いようだ。