冷たい上司の温め方
美帆乃がしがみついてきたから、胸が当たっている。
ダメだ、やっぱり。
コイツは男の気持ちをまったく理解していない。
「寝るぞ」
冷たい言い方になったのは、理性と戦っている最中だからだ。
これ以上はまずい。
明日、ふたりとも遅刻する。
無理矢理目を閉じて、必至に眠ろうとした。
次の朝。
珍しく深く眠っていた美帆乃を起こす前に、こっそり頬にキスをしてから、キッチンに向かう。
そして……。
「起きろ、いつまで寝てるんだ」
「あっ、ごめんなさい。何時?」
彼女は枕元のスマホで時間を確認して、ひどく慌てる。
「どうしよう。もうこんな時間。朝ごはん……」
「トーストしかないぞ?」
同棲するまでは、朝はコーヒーしか飲まなかった。
だけど、彼女が朝食を用意してくれるようになってからは、健康的な生活を送れるようになった。