冷たい上司の温め方

「ねぇ、ねぇ。事務ってさ、経理とかあるのかな。私、数学嫌いだよ」

「そんなのパソコンがやるでしょ?」

「そっかぁ。美帆乃の仕事って、もう決まってるの?」


それを言われて固まった。


「この間話した男の雑用係って言われたんだけど……」

「雑用?」


私は頷いた。
あんな形で採用されて、しかも"シモベ"だとか言われて……それでも仕事が決まったなんて喜んでいたけれど、よく考えたらひどい話だ。


「それでさ、今度バイトに来いって言われてるんだよね。なんか気が重いわ」



ファーストフード店のバイトが全部終わったことを楠さんに電話すると、留守番電話だった。

仕方なく用件を吹き込んでおくと、二十三時過ぎに電話が鳴って、大学の時間割表をFaxするように言われた。

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