冷たい上司の温め方

「余計なお世話です!」

『図星か』


いちいち人を怒らせるのがうまい男のようだ。


『うちの就業時間は、九時から十七時半だ。
その時間内で空いているところは全部来い。
そうだな。火曜の一限と三限の間、木曜の二限と四限の間は勘弁してやる』

「は?」


それって、他は全部来いということ?


「卒論があるんですけど」


そもそも卒業できなきゃ意味がない。


『それは、免除してやった時間にやればいいだろ』

「無理です。そんなの」

『いかに集中して仕事をこなせるかも、必要なスキルだ。無理ならいい。別のやつを探す……』

「わ、わかりました!」


なんてことだ。
ない授業も書き込んでおけばよかった。


『お前、今まで時給いくらだったんだ?』

「七百八十円ですけど」


七百八十円の割には、体がボロボロになったけど……。


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