冷たい上司の温め方
「こんにちは。よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げると、「よろしく」とあいさつが返ってくる。
そして今度は、裏手にあるエレベーターで、なぜだか地下へと連れて行かれる。
これは社員専用のエレベーターの様だ。
人事って地下にあるの?
そんな馬鹿なことを考えていると、持っていた紙袋をぶっきらぼうに渡された。
「これを着ろ」
「……はい」
紙袋を覗くと……淡いグリーンの上下。
どう見ても人事の制服……じゃないよね、これ。
取り出してみると、それはいわゆる作業服だった。
首をかしげていると、楠さんがとあるドアを指差して口を開く。
「あそこが更衣室だ。着替えたら、隣の部屋に来い」
「は、はい……」
私は訳もわからず、言われた通りに着替える。