冷たい上司の温め方
掃除なんて、"誰でもできる地位の低い仕事"とどこかで思っていたけれど、大間違いだった。
遠藤さんの掃除へのこだわりや真剣に取り組む姿勢を見て、そう思っていた自分が恥ずかしくなった。
それに……こうして社内を回っていると、会社内の人間模様も垣間見えて、勉強になりそうだ。
「バイトどうだったの?」
「うん。まぁ楽しかった、かな?」
次の日、ゼミに行くと久美が私に寄ってくる。
「掃除係だった」と言うと、とても驚いていたけど。
「掃除なんて、話が違うじゃない」
「最初はそう思ったけど、勉強にはなったのよね」
私がそう言うと、納得できないような顔で私を見ている久美は「だって人事なんでしょ?」とつぶやく。