冷たい上司の温め方
そうかもしれない。
世間に名前が知れている企業が、ほんの一握りしかないことを、就職活動をして初めて知った。
そして、その一握りの企業にすべり込めたのは、ラッキーだったとしか言いようがない。
しかも、変わった採用の仕方だったし。
「でもね、きっと会社の大小は関係ないよ。
どんな場所にいたって、自分の気持ち次第で仕事の価値も決まるんだよ、きっと」
遠藤さんの顔を思い浮かべた。
まだまだ未知の世界だけど、その日から、私は変わった。
ゼミが終わると、ダイオー電機に直接向かった。
今日は受付を通すことなく、地下に直行だ。
更衣室で着替えを済ませると、"十三階から始めてます"という遠藤さんのメモを見て、私もすぐに向かった。