冷たい上司の温め方

私ももう少ししたら、ここでお化粧直ししているのかもしれないとワクワクしたけど、その気分も一瞬で終わった。


「ホント、あのブス、いい加減に消えてほしいわ」


今、なんて言ったの? 

耳を疑うような言葉に、思わずトイレットペーパーを落としそうになる。

それからは、息を潜めるようにして、会話に聞きいってしまった。


「また、なにがあったのよ」

「聞いてよ、もう。
あのブス、私がミスった書類を部長に叱られてたら、代わりにやりますって、我が物顔で持っていったの。
そりゃー、私だってミスしたのは悪かったわよ?  
だけど、他人のミスを自分の手柄に変えて点数稼ぎするなんて、最低じゃない」


興奮した声が聞こえる。

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