冷たい上司の温め方

遠藤さんは手を止めると、肩をすくめてみせる。

あの口ぶりからすると、たまたまミスをして揚げ足をとられたみたいに聞こえたけど……そうじゃないんだ。


「しかもブスって言われてる人、心当たりがあるんだけど、ちっともブスなんかじゃなくて、あのふたりよりよほど美人よ。
しかも部長とじゃなくて秘書室の人と付き合ってる」


さすが事情通。
そんなことまで知っているんだ。


「なんだか、嫌なところ見ちゃいました」

「そうね。女って恐ろしい。
だけど、麻田さんには染まってほしくないわね」


大きく頷いた。
あんなドロドロした世界には入りたくなんてない。


「まぁ人事って元々嫌われるところだから」


あれ……。
今、遠藤さんがとても気になることを言ったような?


「特に三課はねぇ。頑張りなさいよ」

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