冷たい上司の温め方

唖然としている私の手からトイレットペーパーを奪った遠藤さんは、再び作業を始める。


「遠藤さん」

「ん?」

「人事が嫌われるって?」


私の質問にキョトンとした顔をした彼女は、「まさか、気がついてない?」と驚いている。

作業を中断した遠藤さんは、真剣な顔をして口を開いた。


「人事は、いかに給料を抑えて働かせるか考えるところでしょ。
査定なんてのもしてるし、嫌がられるのは当たり前。
それに、三課は……」


遠藤さんは言葉を濁した。
再び作業に入ろうとするから、慌てて呼び止める。


「遠藤さん、あの、その続きは?」

「うーん。まぁ……そのうちわかるか」


少し考えた様子の彼女は、再び口を開いた。


「三課はリストラ専門の課なの。
楠君は“首切り屋”って言われてる」

「リ、リストラ!?」

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