深夜の微笑
深夜の微笑
パソコンをシャットダウンして、もう誰も残っていないフロアを見渡し壁に掛けてある時計に目をやる。
PM11:23
自分にとってはいつも通りの時間の流れだ。
帰社してから2時間半、パソコンに向かい続けた目の奥は鈍い痛みと慰労を感じていた。
イスの背もたれに体重を預けて、瞳を閉じる。
嫌な疲れではないが、体は安息を求めている。
体を起こしデスクの上を片付け立ち上がり、背もたれに掛けたコートと床に置いてあるビジネスバッグを手にする。
そして最後にデスクの引き出しから薄い箱を取り出し、フロアを出る。
廊下を歩き、エレベーターに向かわず休憩スペースに寄る。
自動販売機でホットのダージリンティを買い、灰皿のあるテーブルに向かう。
バッグとコート、そして今買ったペットボトルをテーブルの上に置いてイスに座り、背もたれに力を抜いて体重を預けネクタイをゆるめる。
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