深夜の微笑
「フ~」

ため息ではない、体の力を抜くよう呼吸を瞳を閉じながらかすかに吐き出す。

ワーカホリックのように残業ばかりして過ごしている。仕事は好きだけど、昇進したいとか認められたいとかそういう気持ちはなかった。
男だったら野心は必要なのかもしれないが、ただこの仕事を突き詰めて行くことが自分にとって自然のことだった。

一息ついたとこでスーツのポケットから赤いタバコの箱を取り出し火をつける。
ゆっくり吸って煙を吐き出してを繰り返し、その揺れる煙をぼんやり見つめる。

働き始めて仕事ばかりしているけど、女の存在がないわけではない。
でも彼女という存在はない。
昔から自分の周りにはいつも女の子達が笑顔でそばにいた。
それに笑顔で答えると、その子達は熱い視線に変えて独占欲を見せた。
そんな感情に適当に付き合い、すり抜けて行くのが自分の付き合い方だった。
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