深夜の微笑 2
いつも姉のように恋の応援をしていた。僕と同じように。

僕と違うのは、同じ女性として気持ちも寄り添っていたのだろう。

人の恋なのに『幸せになって欲しい』と感情的になって涙を浮かべた時もあった。

『自分の恋と重ねてしまっただけ』と弁解していたけど、その正直さも何処か彼女らしくて。

涙ぐんだ自分を見られたくなくて『見ないで!』と顔を反らすところも彼女らしくて。

今まで女性の涙は僕にとって女の武器にはならなかったけど、あの時彼女の涙に惹かれてしまった。


不思議だな・・彼女は僕の中で静かに特別な存在となっていったんだ。


それからかな・・今までみたいに彼女をからかって楽しむことをやめたのは。

不倫をしていた過去を教えてくれて『人を好きになることに疲れている』と言っていたその気持ちをゆっくりと変えてあげたいと思った。

僕の気持ちの変化には気付いていないから、彼女は僕がまだ長い片想いをしていると思い続けてきた。
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